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突然ですが、また童話です。 創作童話「キーコ・キーコ」
さて突然ですがまた童話です。創作童話第2弾「キーコ・キーコ」です。どうしても暗くなりがちな私たち障害者の生活の中で、やはり明るさと夢を失くしたら最低な人生になってしまうように思います。そこで創作童話を書くことで、忘れかけているそんな思いをたまには強引に引っ張り出して文字にするということがとても大切だと思うわけです。とにかく童話を書くには心にやさしさとちょっとした余裕が無いと出来ないように思うんですね。そういった意味でも創作童話は出来るだけ続けて行きたいと考えています。
講釈が長くなってしまってすみません。それでは早速始めたいと思います。

     創作童話「キーコ・キーコ」
 キーコ・キーコ、ガーガー、キーコ・キーコ、ガーガー。
「ツッキー!、ついて来てる?・・・。早くおばあちゃんちに帰ってあげなきゃね。やっぱりおばあちゃんの言ってたこと、ホントだったんだ。いいかい、迷子にならないようにちゃんとついて来てよ!」。
 夕方陽が沈み、丸いお月様がやっと顔を見せた時、よっちゃんは「待ってたよ、さあ行こうか」と声をかけると元気にペダルをこぎ出しました。行き先はおばあちゃんの家。乗っているのは最近近くの公園で猛練習をしてやっと乗れるようになった自転車。でもまだ補助輪付きです。おばあちゃんの家まではいつもお父さんの車で行っているけど、今日は自転車なのです、しかもよっちゃん一人で。道は知っています。おばあちゃんとお散歩していたので覚えてしまいました。
 この前の日曜日、お父さん達とおばあちゃんの家に行った帰り道、よっちゃんはさっきまでおばあちゃんの家から見ていた丸いお月様の顔を車の窓から見つけました。
「あれー、ツッキーがついて来てるよ」。車のリアガラス越しに見えていたツッキーでしたが、お父さんが左へハンドルを切ると、今度はツッキーも左の窓へ移動して顔を見せています。
「あっ!こっちに来たよ。ねえお母さん、ツッキーがついて来てるよ」
「よっちゃんとお別れしたくないのよ。綺麗なお顔をまだまだ見てって言ってるのかもね」。しばらく行くとお父さんは右へハンドルを切りました。するとツッキーはまたまたリアガラスの方へ移動して相変わらず丸い顔を見せているのです。
「またこっちに来たよ。何処までついて来るのかなあ」。ツッキーをじっと見つめていたらいつの間にかよっちゃんの家に着いてしまいました。車から降りると「ぼくんちに来ちゃったね、じゃおやすみ!」と小さく言って家の中に入りました。
 数日後幼稚園からの帰り道、「おばあちゃんは風邪をひいてしまってちょっと熱があるんだって」とお母さんから聞きました。「いつも元気なのに・・・。アッやっぱりそうなんだよ」と、この前おばあちゃんから聞いた話をお母さんにも話しました。
 おばあちゃんの家の縁側に坐って、よっちゃんとおばあちゃんは丸いお月様が綺麗な顔を見せているのを、それはうっとりと見つめていました。
「ああ綺麗だねえ」とおばあちゃんはポツリと言うと、両手を合わせてお月様にお祈りをしています。
「いつまでも元気で幸せでありますように」。よっちゃんが不思議そうにおばあちゃんの顔を見ていると、「よっちゃんもこうやって両手を合わせてね。そう、そしたら元気に大きくなりますように!、ってお祈りするんだよ」とやさしく言いました。よっちゃんはおばあちゃんの膝の上にちょこんと坐って両手を合わせました。
「ツッキーにいつもこうやってるの?」
「そうだよ、毎日お祈りしてるとね、お月様はきっと守って下さるのさ」
おばあちゃんはそのシワシワの手でよっちゃんの小さな手をゆっくりさすりながらニッコリしました。
 おばあちゃんとの会話をお母さんに全部話した後、よっちゃんははっきりこう言いました。「そうなんだ!、ツッキーがぼくんちに来ちゃったからなんだよ」。
 キーコ・キーコ、ガーガー。おばあちゃんの家まではいつもの車で行くと僅か5分程で着いてしまいますが、今日はよっちゃんの自転車です。少し暗くなって来ましたが、よっちゃんは元気にペダルをこいでいます。でもちょっと怖くなって来ました。
「ああツッキー!、怖くないように守ってよう」。
 よっちゃんが居ないことに気付いたお母さんは、慌ててあちこちに電話しました。でも何処にも居ません。その時ハッと思い出したように受話器を取ったのです。
「あっおばあちゃん、よっちゃんそっちに来てる?」。さっきよっちゃんから聞いた話をおばあちゃんにも話しました。もうすっかり良くなっていたおばあちゃんは、電話を急いで切ると玄関から前の道へ出てみました。もう周りは薄暗くなっていて誰も居ません。そこへお母さんから知らせを受けたお父さんが車でやって来ました。
「来てない?」と尋ねるお父さんに「ウン」とおばあちゃんが答えた時、向こうから変な音が聞こえて来たのです。キーコ・キーコ、ガーガー、キーコ・キーコ、ガーガー。
「おばあちゃーん!、ツッキーを連れて来たよう。もう大丈夫だからね」。空を見上げると、丸いお月様がいつものように綺麗な顔を見せていました。
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未分類 | 14:31:37 | Trackback(0) | Comments(0)
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