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ナント!、失明です。
私はなかなか目が覚めませんでした。いや本当はとっくに覚めていたようです。というのは当時生命の危機が何度かあったそうで、それを奇跡的に乗り越えた時私は完全に視力を失っていたんです。そのことが自分自身まったく分かっていなかったんです。当然家族にも失明するなんて思ってもいないことですよね。とにかく私としては今目の前で起きている(目に映っている)ことだけがすべてだったんです。約2週間後正気(?、ニコ)に戻ってからそれは夢だったんだとやっと理解したんです。
夢はかなり見ました。いままで生きて来た中でこんなに沢山の夢を一気に見たのは初めてでした。夢の中ではどこへでも行けます。賑やかな市街地(ハッキリ言うと飲み屋街です、ニコ)・海や山・遊園地や動物園・ヨーロッパ辺りの観光地などなど実に面白いものばかりでしてね。そうそう、夢は総天然色(古いなあ、もう誰も使わないよね)じゃなくてカラーなんです。スイス辺りの山岳地帯をそれはそれは鮮やかな蛍光色の自転車に乗った選手たちが走る自転車レース。それを抜けるような青空に浮かぶこれまたドハデな色の気球に乗って見ている私が居るんですねえ。この時の色は今でもハッキリと覚えています。どこへでも行けましたが残念なのは夢の中でも私はやはりこの病気をやっているんです。私はいつもこの役柄なんですね(ニコ)。思わず声をかけようとしても声は出ず、はたまた手を伸ばして触れてみようとしても手は動かずで、その時「そうかあ、俺は病気だったんだ」と突然現実の自分がそこに居るのに気付くわけです。そんな私が夢の中に居るとやがて看護師さんが現れます。それは夢を楽しんでいる・いないにかかわらず看護師さんは必ず私を見つけて病院に連れ戻してくれるんです。「どうしてここに居るのが分かるのかなあ?」と私はいつも不思議に思っていたようです。そして彼女たちはきっと魔女なんだとまったくなさけない結論を出していたんです(マジかよ!)。夢をかなりこなして行くと私はナント看護師さんが来るのを待つようになったんです。例えば怖い夢だったとしてもうここから逃げたいと感じた時、「もう少し待てば看護師さんが来てくれるぞ!」と自然にそう思うようになったんです。すると必ず「さあ病院に帰ろう」と連れに来てくれましてね。こんな時、彼女たちはまさに「魔女みたいな天使」だと泣きたいほど喜んだものです。正気を取り戻してから分かったんですが、「さあ帰ろう」と看護師さんが言ったのではなかったんです(あたりまえだろ!、ニコ)。それは定期的に検温など見回りにやって来た看護師さんが「どう気分は?」などと私に声をかけただけだったんです。それを勘違いしたんですねえ。あきれるほどまったく自分勝手な解釈だったわけです(幸せだよねえ、ニコ)。
つまり夢と現実が一緒になって頭の中がゴチャゴチャになってしまっていたようです。ぼんやりとは目覚めてはいるんですが頭はまだ夢の途中なんです。そんな時声をかけられると夢と現実が交錯してあんな勘違いをやらかしてしまうんですね。今でも夢をよーく覚えているということはやはり目覚めていた証拠だと思うんです。普通目覚めるということは周りが明るくなると目にそれを感じて認識するようです。しかし私の場合はそれが分からないんです。そんなかなり混乱したお話が少しずつですが何となく理解出来るようになって来たのは、入院後約2週間後のことだったんです。
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